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翌日は、休日出勤のフリをして、砂月は家を出た。ホテルのラウンジに向かった砂月は、遠藤からの報告を待っていた。
時間ばかりが流れていく。
果たして遠藤は――……。
別れさせ屋の母体の会社に苦情を入れようかと考えつつ、砂月は珈琲を飲んでいた。
そんな遠藤から連絡が来たのは、午後四時の事だった。午前十時に家に荷物を届けたはずだったから、合計六時間もかかったわけだが、その結果……。
「よくやった」
思わず砂月は小さく拳を握った。タブレットの画面には、遠藤からのメッセージと画像が表示されていた。そこには遠藤が香織を抱きしめている写真が映し出されている。完璧だ。
報告によると、それとなく躓かせて抱き留めた所を、外部待機していた撮影班が写真に収めたとの事だった。最高の結果だ。あとはこれが、会社に届いたという設定で、数日後に突きつけるだけで良い。
彩月は肩から力を抜いて、ほくそ笑んだ。
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