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ーーそんなに単略化して何になる。
無駄に省く瀬川さんの言葉遣いに、かつての自分は不貞腐れたようにそう思っていた。
……それを、今の自分に問う。
即答だった。
”キミの見ている世界を僕も見てみたいんだ”
僕は一世一代の勇気と共に涙を流す。
「一緒にタピりたい…!!!…です」
威勢よく飛び出した割に語尾は弱わり、締めが悪いせいで余韻に格好がつかない。
それに僅かな羞恥が周囲を漂う。
使い慣れていない言葉遣いは僕の頬を真っ赤に染めた。いつの間にか床に張り付いた視線。
だけどそんな僕の鼓膜に彼女の声がポンッ、と優しいトーンで届く。
「りょ」
「え……?」
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