結局その日、彼は待ち合わせ場所に来てくれなかった。

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「ごめんね…ゆうま……、ごめんね…」 優馬の体がスー、と霧のように消えていく。 死んでからも、私に会いに来てくれたんだ。 きっと、優馬の死と向き合わせてくれる為に。 「別にいいよ、変に気に病むことねぇからな?俺は先に向こうで待ってるから」 「いやっ…、私も…、私も一緒に…っ」 「馬鹿野郎。何のために俺が身を呈して守ってやったと思ってんだよ」 「でも…っ」 「いいんだよ。お前は、前見てちゃんと生きてろ。な?……あんま早くこっち来んな。シッシッ…」 そう言ってまるで私がハエみたいに、手を払う彼。 「うん…、分かっ…た」 目の前にはいつもみたいにニッ、と歯を出して笑う彼が居た。その顔は私が大好きな彼の顔だ。 「守ってくれてありがとう…。大好き…大好きだよ優馬っ…」 そう笑いかけた私の視界にはもう、優馬は居なくて、置き土産のように手中に残された小箱を私はそっと抱きしめた。 【終】
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