結局その日、彼は待ち合わせ場所に来てくれなかった。

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17時……17時30分…18時…… 時間はただただ経過していくばかり。 【公園着いたよ】 既読すらつかないメッセージ。 スマホでゲームをしていたら案外あっという間に時間は経っていたけど、指先はかじかんでもう既に上手く動かなかった。そんな状態の私に声がかかったのは私が公園に着いて2時間後の事。 それは19時5分の事だった。 「……ごめんっ…、遅れた…」 そう言ってゲームオーバーの文字が表示されるスマホ片手にブランコを漕いでいた私は顔を上げる。 白い息を吐き出しながら肩で息をする彼をつい睨む。 「ほんっと、ごめん!」 顔の前で手を合わせる彼は申し訳無さそうに私を見つめていたけれど、だけどどこか浮ついたように口角が上がっていて、無性に苛立ってしまった。 「…はぁ……遅れた、って何」 伝えたい事も聞きたい事も山ほどあった。だけどそんな気持ちはどこかへスー、と消え去っていくようだった。
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