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あの日からだんだん互いの呼び方は苗字から名前になっていって。「玲乃」って呼ばれる度、私は彼の特別なんだ、って思えた。
付き合ってから私達は色んな場所に遊びに行った。彼はだいぶヤンチャだからその分私よりも私が知らない事を沢山知っていた。
周りからはヤンキー?大丈夫なの?って度々心配されたけど、人は見かけによらない、っていうのは本当で。心配の欠片もない人だった。”女を取っかえ引っ変え”そんな噂を耳にした事もあったけれど、普通に無視した。
私は彼を信じているし私の前での彼をいつだって信じていた。
…どっちがいいかな。
その日は早起きしてメイクに気合いを入れた私はタンスから服を引っ張り出してベッドの上に並べていた。
時刻は9時45分。
今日は10時に彼といつもの公園で待ち合わせて久しぶりにデートする予定だ。前日から楽しみで楽しみで仕方なかった。
「玲乃ー、今日寒いみたいだからこれしてきなさい」
家を出る直前。母が赤いチェックのマフラーを手渡してきた。
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