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「あのね。さくらちゃん。私ちょっと相談したい…、事があって…」
視線を下に下げる。
そこには悪意に満ちた落書きだらけの楓の運動靴が目に入った。
なんだか責められている気がしてならなかった。
……相談、って何。
私はこんなに傷だらけなのにどうしてさくらちゃんは助けてくれないの?
って言いたいの?責めたいの?
足元の悪意が空気を伝い、私にまで伝わって来るようで何だかむしゃくしゃしてしまった。
早く楓から離れないと、という焦りも相まってそれは加速していく。
「ごめん、急いでるから」
私はぶっきらぼうにそう言って、掴まれていた腕を振りほどく。
皮膚には楓の手の温もりが僅かに染み付いていた。それでも構わず雨の中を全速力で駆け出す。
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