プリファレンス・ラヴ

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数時間後、お昼に出前した器を下げに再び医局へやって来た。 「失礼しまーす。器取りに来ましたー」 室内には誰もいなかった。部屋の隅に岡持ちが置いてあったのを見つけて其処へ足を伸ばした拍子に目の端にある物が目に映った。 黒いソファの背もたれ部分に無造作に掛けてあったそれを見た瞬間、カァッと頬が赤くなった。 (は、はははは、白衣!!) 瞬間、顔だけではなく体中が熱く発汗した。そう、実は私──白衣フェチ、なのです。 恥ずかしい話、真っ白な白衣を見るとドキドキして体中が熱くなり、とても変な気持ちになってしまうのだ。 一応このフェチに至った訳みたいなものがある。 それは高校生の時、学校内の密室で偶然見てしまった白衣を来た先生と女子生徒との濡れ場。 すぐに見るのを止めればよかったものの、結局最後まで隠れて見てしまった。 その時の白衣を来た先生の艶かしい所作が忘れられなくて、以来何故か白衣は私の中では性的興奮を呼び起こすアイテムになってしまった。 (こんな変態フェチ、誰にもいえないんだけどね!) 医局での先生たちは白衣を着ていないことが多かったので今までこんなに間近に白衣を見たことはなかった。 廊下ですれ違う白衣を着た先生も一瞬のことだったらまだ我慢出来て何事もなくやり過ごせた。 だけど今、こうも無防備且つ、手が届く範囲にある白衣から全く目が逸らせないでいた。 私の目にはどうしたってこの白衣が私を誘っているようにしか映らない。 (す、少し……だけ。ほんの少し……触る、だけ……) 小刻みに震える手を伸ばし、白衣にそっと持ち上げる。瞬間、体中に何ともいえない快感が駆け巡った。 「んぁ」 不覚にも白衣を手にしただけで甘い声が出てしまった。 続けて白衣を顔に埋める。匂いを吸い込むと甘く痺れるような緩い電流が体中に流れた。痺れる感覚のまま自然と両膝を擦り合わせた。
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