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「その病は恐らく俺にしか治せないと思う。だから……君の担当医に指名してもらえないだろうか」
「~~~な、なんですか、それ」
まさかあの寺島先生がそんな告白をするとは思っていなくて相当驚いてしまったけれど、当然私に拒否するという選択肢はなくて、当然返事は「よろしくお願いします」一択だった。
こうして憧れの寺島先生は晴れて私の主治医兼彼氏になった。
私の恥ずかしいフェチを受け入れてくれた優しくて寛大な寺島先生。大人な彼とのお付き合いは私にとっては新鮮で楽しくて幸せなことばかりだった。
ただ、ふたりきりで甘い時間を過ごしていると時々念を押されることがある。
「ねぇ、美和ちゃん。これからは俺以外の白衣で興奮するのは禁止だからね」
「……え?」
一瞬、背筋がゾクッとした。
(寺島先生以外の白衣で興奮したらダメ?)
果たしてそんな我慢、出来るのだろうか?
「約束を破ったらどうしようかな……。悪い子にはやっぱりお仕置きかな?」
「……」
(幸せ……なんだよね、私?)
勿論、素敵な彼氏の白衣だけで充分満足出来る筈、だよね?
訳の解らない不安が一瞬、過ったけれど、今はただただこの幸せを噛み締めたいと願うのだった。
プリファレンス・ラヴ(終)
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