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穏やかな光に包まれている。だた心がホッとする。これまでの苦しみは全て無くなる。
終着駅にたどり着いてた。もうこれから先なんてない。どんな旅だってこれで終了なんだから。
そんなところで僕を待っていたのは愛しい彼女。笑顔の花が咲く。こちらに向かって手を振って走り寄る。
「こんなに君を待たせたなんて僕はとても悪い」
まず彼女をこんなところに残したことを詫びる。それでも彼女はまだ華やかに笑っていた。
「気にしてないよ。久し振りだね」
恐らく彼女の言葉は本音なんだろう。その笑顔が物語っている。
荷物もなかった僕は彼女にこの世界を案内してもらう。これまでとは違ったところ。僕は全く知らないけど、懐かしくもある。
「君は昔のまんまなんだね。出会った頃の十八歳の姿そのものだ」
「まあね。それは不思議な魔法なのかも。だけど貴方だって年寄りなんかじゃないよ。うん。若い」
懐かしさは彼女の姿にもある。僕が恋した昔とも言える姿で、僕を待ってくれてた。とても嬉しいんだ。好きな人だから。
「会えなくなってどのくらいだったんだっけ?」
「ひどいなー。忘れないでよ。三年。貴方が私をほったらかして」
プクッと彼女が膨れる。幼い子供のような姿に僕はまた惚れてしまいそう。
「つい昨日みたいだからだよ。本当に待たせたね。久し振り」
「うん。普通の恋人なら別れてるよ。待ってたあたしが偉いんだ!」
軽く飛び回って喜んでいる。年相応ではない。だけど今の彼女なら不釣り合いではない。
「うん。ありがとう。僕の愛しい人は素晴らしい」
僕たちはこんなに愛し、愛されてとても長いことだった。
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