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「閣下の言う通り、持ってきていて助かりました。それは魔力を暴走させないようにする子ども用の魔具だそうですよ。閣下からの下賜品です。大切になさい」
「暴走も何も既に十分コントロール出来てましたけど!?」
そういえば、魔力がある子どもには魔力を暴走させないようにする魔道具を身に着けさせる風習があった。
魔力を使えない私なんて、ただの無力な美少女じゃないか。ヒロインとしての強みが減ってしまったんじゃないだろうか。
「とにかく、あなたが魔術の遣い手だという情報は真だったことはわかりました」
アダムの良い笑顔を向けられる。
さっきまで野良狸でも見るような目をしていたくせに、胡散臭いが過ぎる笑顔だ。
「しかも、かなりの」
「いえいえ、そんなことは」
あれぐらいで大げさなほどの賞賛である。褒められれば喜ぶとでも思っているんだろうか。もっと言って。
へへへっと照れ笑いをしつつ、久しぶりの賞賛を浴びる。これだよこれこれ。くぅ~生き返る。大地の息吹を感じるように感じ入っていたが、アダムの「そんなことあるんですよ」という重い声で我に返る。
「こちらの記章はネジ式です。廻旋させる繊細な操作、浮遊、異動、そして物質を消して、出す。しかも無詠唱で、です」
アダムの笑顔の圧が、強い。
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