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その質問に、ピクリとアダムの眉が反応する。
「……あなたはどう思いますか?」
思う、とは?と首を傾けたら、アダムが前のめりに顔を寄せる。
────「私があなたに求めるのは、頭の良さでも魔力でもない。何もない。使用人と一緒に農民の真似でもして暮らせばいいわ。一生ね」そう言って、私を冷たく見下ろしたアリアお母さまの声が掠める。
「閣下は公爵家にアリア・サルージを迎え入れるのも構わないとのことでしたが、私は反対です。彼女はきっと閣下の弱味になる」
アダムは少しバツが悪そうな顔をして、それを振り切るように自傷気味に溜息をついた。その次の瞬間には覚悟を決めた目をして、私を見た。その瞳に嘘や誤魔化しは見えなかった。
「諸々、何か交換材料になるものはありますかねぇ」
私にはわかるかもしれない。
アリアお母さまの真意とやらが。
「……助けてあげてもいいわ」
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