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わざと尊大な言い方をしてみせ、ごろんとベッドの上で寝返りを打ち、錆びついたようにぎこちなく身体を起こす。
やっと目が覚めたらアダムに力を見せることになって、回復が追いつかないったらない。
かくん、と身体を起こそうとした腕の力が抜けそうになったところをアダムが支えてくれた。
近くで見ると、アダムはまだ青年といえるぐらい若いのかもしれない。
「公爵家に行くのは私だけ。……その代わり」
背を支えてくれたアダムの腕を少し引いて、注意を戻す。
「公爵家の力で、ただの少年一人を助けてほしいの」
難しいかしら、と見上げたアダムの瞳に警戒心が宿る。
「……どこまでご存じなのでしょう」
「何も知らないわ。少し前まで村娘だったのよ」
ベッドの上に座り直し、目線を合わせたアダムにキュルリン★とヒロインスマイルを見せておく。
手が届きやすいヒロインのように親近感を出してアダムの警戒心を解こうとしたのに、可哀想なものでも見るかのような目で見られた。解せない。
もしかしたらアダムは手の届かない崇高な存在に燃えるタイプなのかもしれない。
「……お手並み拝見といきましょう」
────ヒロインは、自分の“強み”を知ってるの。
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