はじまり

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あっという間に青年の部屋らしき場所に着いて、この青年の足の速さに驚く。 「にゃー(なんて足が速いの)」 『さて許可もいただいたことですし、名前をつけましょうか』 「にゃぁ(許可されてないのは気のせい?)」 青年は難しい顔をして悩む。 「にゃー(凄く難しそうな顔)」 しばらくしてパァッと明るくさせて 『決めました。真っ白なので“しろ”はどうでしょうか?』 「にゃぁ(そのまま)」 『あれ?気に入らない?』 「にゃーにゃぁ(私の本当の名前は…あれ?)」 『どうしました?』 いきなり鳴き出したことに驚いたのか覗き込んで来る。 「にゃぁにゃぁ(覚え出せないよ)」 必死に訴えるように鳴く。 でも言葉にできなくて 『わわっ…そんなに気に入らないですか⁉』 「にゃぁにゃぁにゃぁ(違うよ、聞いて!お願い)」 『仕方ないですね…それならば“大福”はどうでしょうか?』 「にゃー(まんじゅう)」 思いがけない名前に尻尾を下げる。 『食べちゃいたいぐらいに可愛いですし』 ニッコリ笑うその姿が野獣に見える。
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