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モカは一族の研究の集大成と言っていい。魂と言う不確かな存在を数値化して全てを把握しているのだ。寿命半分であの鍵が作れるならとその場で即決して作ってしまったのは確かにある。
「大切な家族が早死にする。それがどれだけ悲しいことか、お前がどれだけ大切に思われているか。ちゃんと叩き込んでおく必要があると思った」
「……」
「もう少し自分の命を大事に考えてたら、あの場で即決なんてしなかっただろ。転移で一度俺を呼び寄せて二人で鍵を完成させればよかったじゃないか」
そう言ってショットはモカの頭を撫でると悲しそうに笑った。叡智が地上に何かした時は頼みたいとモカが言うので、空中庭園にショットは行くことができなかった。
ショットもまた強大な魔力をもっている、絶対に戦力になれた。だがみんなを守ってほしいというモカの切実な思いに応じた。
何もないことを祈りながら待っていれば、戻ってきたのは寿命が半分になった甥っ子。自分という同一の存在がいたのに、何もできなかったことをずっと悔やみ続けていたのだ。
彼もまた甥を大切に思っている。同じ魂を持っているとしても、そこは伯父と甥と言う関係に変わりは無い。
「ごめん、なさい」
「まあ、責めたいわけじゃない。本来だったら十五歳で解放する力、お前は五歳で解放した。子供時代がほぼなかったから、大人に甘える機会を完全に逃してしまった。一人ですべてできるからなおさらな。それが不幸だとは言わないが、もう少し周りを、俺たちを頼ってくれ」
優秀であるが故の、そして同じ魂を持つものであるが故の理解者。鏡に映った自分のように思ってきたが、ここに来て初めて目の前にいる人が「伯父」だと認識できた気がした。おそらくそれも彼は気づいていたのだろう。
「ありがとう、伯父さん」
「ああ。あともう一つ。これは非常に個人的な感情なんだが」
「ん?」
がし! と。撫でていた手が突然頭を鷲掴みにする。確か素手でくるみを砕いたことがあるとか言っていた気がするなぁと、頭に感じる激痛に耐えながらモカはそんなことを考えてしまう。おそらく現実逃避に。何せ死ぬほど痛い。
「痛い痛い」
「なぁぁんでお前は背が伸びる予定なんだよ、おかしいだろ! 俺はこの体格で止まったんだぞ!?」
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