エールエーデ灯台の財宝

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 フナムシの襲撃が一旦止んだ。程なく、海軍から不審船と乗組員…フナムシの魔物使い…を捕まえたと連絡が入る。  灯台のお宝を狙っているのは他にもいるようだが、フナムシの件は一段落だ。勇者ふたりは灯台にくっついた宿舎に入った。  元泥棒サザナミは勇者を暖かくもてなした。 「寒かったでしょう。ささ、勇者様、お茶をどうぞ。焼き菓子も作りましたぞ。暖炉に近い席へ…コラ下男、そこぁ目下の人間が座るとこじゃねえ、どけな。しっしっ」 「なんでえ。なら勇者様こっちじゃねえか」 「こん馬鹿野郎、足元ば見ろ。少し石が出っ張っとるだろが。勇者様を危ねえとこ座らすんでねえ」 「けっ、面倒くせえ」  下男ゲンゴロはガタガタと乱暴に椅子を出して、窓際の席に座った。サザナミは、最近の若者は礼儀を知らんとかブツブツ言いつつ、壁際の危ない席に座った。 「あたしゃ長いこと人様のもんかすめて来ましたが、刑期も終えて今度こそ、マトモなお宝を手に入れて余生をのんびり過ごせますわ。勇者様ありがとうございます」 「ど、どういたしましてなのだ…」  ハタタカは礼儀正しく返事はしたが、今回の仕事に納得はしていなかった。宝が誰のものかもわからないのに、この人にあげていいのだろうか。  下男は、ハタタカのように礼儀正しくはなかった。 「はん、宝ったって、どうせ別の泥棒の隠し金だろ。マトモが聞いて呆れらあ」 「これだから若造は。地元の歴史くらい勉強せえ。エールエーデ灯台といえば、あの『殺し屋勇者カンクロ』の生まれた地じゃぞ。カンクロの隠し金に決まっとろうが。勇者の遺産じゃ」  ニヤリと笑う元泥棒を、勇者ふたりは真顔で見返した。
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