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「おれ……史狼の弱みだって思われてた。史狼に……あんなことさせた」  本当は人を傷つけることが嫌いな史狼に人を殴らせてしまった。あのままだったら、殺していたかもしれない。そう思うと、自分がひどく無力に思える。 「叶都が止めなかったら殺してたかもな……叶都、今回の事でわかっただろ? 俺はそういう世界で生きてるんだ」  史狼が言い切ってキスをする。まるで叶都に何も答えさせないかのように唇を塞ぎ、手では叶都の中心をゆるゆると扱き始めていた。史狼からこんなことをされるのは初めてで、正直戸惑っているし、とても嬉しい。けれど同時に不安にもなった。どうして突然、こんなことをしてくれたのだろう。  そもそも、ここまで帰ってきて、一緒に風呂に入ろうと言われたこと自体が珍しかったのだ。その時点で何か違和感はあった。 「し、ろ……待って……」  キスの隙間から叶都が言い、史狼の胸を押す。それでも史狼は手を止めることはなかった。 「前も早かったな、そういえば。でも、待たない」  耳元で囁かれ、ぞくぞくと肌が粟立つ。史狼の手も止まることはなくて、目の前が白んで来る。それでも一方的なのは嫌で、叶都は史狼の中心の、更にその奥へと指を伸ばした。びくり、と史狼の体が跳ねる。 「叶都、そこは……」 「おれ、何度も言ったよ、史狼をお嫁さんにしたいんだって。こんなふうに手を出してくれるなら……こっちも受け入れてよ」  指の先を史狼の蕾に少しだけ入れる。きゅっと締め付けるように食まれて、叶都が口の端を引き上げた。 「ねえ、嬉しそうだよ、史狼のココ」  手のひらで尻を撫でながら史狼を見やると、その耳が真っ赤になっていた。きっと嫌ではないのだろう。叶都は少しだけ指を進めた。 「こら、叶都」  史狼がきゅっ、と叶都の中心を強めに握り、扱く。そうすることで叶都が諦めると思ったのだろう。確かにさっきより気持ちよくて気を抜くといってしまいそうだが、叶都はそれに耐え、史狼の後孔に指を入れ、中を拓く。 「う、わ……前と違う……」 「気持ち悪い? 少し我慢して、すぐいいトコ見つけるから」  叶都が史狼の耳にキスをして囁き、指をぐるりと回す。腹の方に指を少しだけ曲げると、史狼の体が再び跳ねた。夜な夜なスマホで検索して勉強したかいがあったのか、すぐに史狼の前立腺を見つけることが出来た。前は史狼のことまで全然考えられなかったから、今度は絶対に史狼を気持ちよくさせたかったのだ。 見つけたそこを執拗に擦ると、史狼から甘い息が零れ始める。それだけで叶都は嬉しくてドキドキした。 「……ったく、こんなことばっかり成長しやがって」 「勉強熱心って言って」  半ば呆れた顔をした史狼に少し不機嫌に答えると、史狼が小さく優しく笑んだ。 「じゃあ、その勉強の成果とやらを見せて貰おうか? 童貞」 「だからもう童貞じゃないってば! 史狼、絶対後悔するからな。覚悟しろよ」  叶都は既に二本指を入れていたところにもう一本入れ、その場所を拡げるように出し入れを繰り返した。キスをして、史狼の中心にも触れると、史狼の表情は呆れたものから艶のある蕩けたものに変わっていった。 「史狼、入れるから……後ろ、向いて」  その方が辛くないだろうと提案するが、史狼はそれに首を振った。 「後ろは、だめだ」  その言葉に一瞬首を傾げたが、叶都はすぐにその意味を理解して、微笑んだ。 「おれ、史狼の朱雀も好きだよ。でも、史狼がどうしてもおれの顔を見ながらいきたいって言うならそうするね」 「ちがっ……それは、叶都じゃないのか?」  ふ、と史狼が気鋭に笑顔を向ける。こんな時までカッコいい史狼に叶都はドキドキした。 「そうかも……史狼の顔、見てたい」 「じゃあ、このまま来い。受け止めてやる」  史狼がこちらに腕を伸ばす。叶都はその史狼の優しい顔と男前な言葉に胸がきゅんと軋むのを感じながら、素直に史狼の中へ自身を埋め込んだ。 「好き……史狼、大好き」  史狼の肩に顔を埋め、叶都が言葉にする。何度言っても足りない言葉だけれど、史狼は、知ってる、と優しく叶都の背中を包み込んだ。 「どっちが突っ込んでるか分かんねえな」  くすくすと笑われ、叶都がむっとする。 「おれだよ。史狼は抱かれてるんだよ」  叶都が腰を動かし史狼を見つめる。動くたびにその表情が艶めかしく変わることが嬉しくて、叶都は史狼の中へ自身を押し込んだ。 「んっ、か、なと……もっ……」 「いく、よ……史狼、好き――!」  史狼の中に白を吐き出すと、史狼もお湯を濁したようだった。そのまま叶都が史狼を抱きしめる。 「しろ……のぼせた……」  へたり、と史狼に頭を預けると、史狼から小さな笑い声が聞こえた。 「調子に乗るからだ」  いつもの史狼の声が心地良くて、叶都はそのまま目を閉じた。
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