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   *****  友人たちが私立の中学受験を控え、毎日のように朝から晩まで塾に通っている中、僕は宿題もない春休みを朦朧と過ごしていた。  その日インターホンが鳴ったのは、午後の情報番組が京都の桜を紹介していたときで、モニター画面を見た母は小さく驚きの声を上げた。そして心配そうな表情を浮かべる。 「アオイちゃん」  急いで玄関に向かい、扉を開けると、相手が僕だと気づいたアオイはにやりと笑った。 「キョウスケ、ひまでしょ? 遊びにいこ」  母がやってきて、優しい声でアオイに尋ねる。 「アオイちゃん、大丈夫なの?」  アオイは行儀よく挨拶したあと、力強く答えた。 「はい! それにたまには、外の空気を吸わないと」  天真爛漫な笑顔に母もそれ以上は言えず、僕に向って「危ないことはもうだめよ」とだけ念を押した。
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