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桜並木を越えた先に佇む、とある神社。
鳥居が西日に照らされ輝いていた。
境内は広く、背の高い木々に囲まれた表参道を進むと、道を挟む形で両側に手水舎が現れる。
鈴の緒が5本も吊るされた立派な拝殿で参拝を行ってから、裏手に周った。
摂末社が立ち並ぶ寂れた一画の手前に、その池はある。家庭用のビニールプールほどの小さな池だ。
携帯で時刻を確認したあと、池のそばに設置された石造りの長椅子に鞄を置き、中から口を縛ったポリ袋をひとつ取り出した。結びを解いて池の上にひっくり返すと、薄ピンク色をした桜の花びらがひらひらと舞い落ちる。あの日と同じ、河川敷の公園で拾い集めたものだ。高校生にもなった今、ひとりでそのような風変わりな行動を取るのは容易ではなく、前回と比べたら量は少ない。
前回──それは5年前、小学6年生になる直前の春休みのことだった。
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