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性交は行うが恋愛感情は持たない。
金銭的な関係にはならない。
離れようと思った時にそう告げ、別れる。
それは一種の業務契約のようなものだった。だが瀧本にも、ひとみにもそれで良かった。特殊な嗜癖を持つ者にとって、そこから情を除いた関係というのは、割り切れるものがあるからだ。これまで何度も苦い思いをしてきた瀧本には、この枷が必要だった。
「異存はないね?」
瀧本の問いに、ひとみはひとつ、条件をつけた。
「週に一度は……あたしが生理の時でも……お願いできますか?」
業の深さを、瀧本は感じた。この女は、本物かもしれない。
「ぼくは良いけど、君は大丈夫?」
「あたしは……こんな機会は、もう無いと思うので……課長との時間を大切にしたいと思っています」
ひとみの笑顔らしい笑顔を、瀧本はその時初めて見た。
今、瀧本は浴室から出て、ベッドで自分のネクタイでひとみを後手に縛り、後ろから繋がっていた。ひとみの肌は吸い付くような感触があって、飽きさせる事がない。艶声も耳に心地よかった。
ひとみは行為の最中に何度か、瀧本の事を「お父さん」と呼んだ。肌が馴染んで来て、気心も多少知れてからは一層、頻度が増した。
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