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ドアノブやクロゼットのフックを使ってやっても、巧く行かなかった。仕方なく、手首を縛る事で折り合いをつけた。綿ロープで縛った手で、自慰をした。それでも昂奮の度は男性との性交の比ではなかった。強く締め付けられた手の指先で弄ぶと、すぐに軽い絶頂が訪れる。そんな時、眼を閉じて想像するのは、父の姿だった。妄想の中で、ひとみは父に犯されている。父にきつく後ろ手に縛られ、愛撫を受ける。後ろから貫かれる。
今の課に転属してから、その妄想は父から瀧本にいつしか変わっていた。どこか瀧本に、父の面影を見ていたからだった。瀧本の職場での視線に、ひとみは強い男のそれを感じていた。その視線を思い出して、自慰をした夜もある。
声をかけられるように、ひとみは仕向けたのだった。
会議室でのその密談は、二人にとって非常に理にかなった、お互いの要望に沿うものとなった。
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