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ひとみ
女を縛ったのは久しぶりだった。
加えて言えば、縛った女を抱いたのは、もっと久しぶりだった。
予感めいたものがあった。今、ベッドに突っ伏して荒い呼吸をしているひとみには、その気配が確かにあったのだ。
束の間の虚脱感から解き放たれ、瀧本は後ろ手に縛り上げていたひとみの縄を、慣れた手つきで解いて行った。
乳房の上下に絡みつくように張っていた縄をするすると解くと、両の乳房を彩るかの様に綿ロープの痕が朱く残されていた。
顔を伏せたまま呼吸を整えているひとみに、瀧本は言った。
「君みたいな子は久しぶりだよ」
漸く手首を解放されたひとみは、そこにも刻まれた朱い痕をそっとさすりながら、瀧本を見た。その眼はまだ、誘うように濡れていた。
「あたしも、こんな風にしてくれた男性は久しぶりです」
瀧本は何も答えず、ひとみの背後に回って腰から股間にかけてかけられた股縄を素早く取り去った。一瞬、縄がこすったのか、ひとみが甘い声を洩らした。
「こうされるのは好きかい?」
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