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螺旋は歪だから、いつも同じではない。
視界も揺れ、空気も霞み、時間は遠のいていく。
屋根を過ぎる頃には昨日までの自分ではなくなった。
有限の中に無限はない。
どうしたってこの先には何かの終焉がある。
私はそれを見たいのだろうか。
自問自答を散乱させながら、歪に寄り添うように歩を進める。
ビルの高さは越えた。
下を見てその歪さに改めて眼球の歪曲を覚える。
これは縮図だ。
これまでの時間と生きてきた感触、混じって溶け合って朱色の光沢なのだ。
それが脳のメカニズムに突き刺さる光景だった。
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