第4話『生徒指導室のメリークリスマス』テーマ:Farther Christmas

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第4話『生徒指導室のメリークリスマス』テーマ:Farther Christmas

私立日野出(ひのいずる)学園は、都内湾岸部某所に建つ学園都市である。そんな学校の高等部の北校舎に於いて、陸上特待生の加藤明里は、陽が落ちて暗くなった教室で1人反省文を書かされていた。 原因は陸上部の練習の事。タイムが伸びず不甲斐ない走りをしていて、同輩から「木下なんかとちちくりあってるからだ」と揶揄われてしまい、逆上した。手が出て、次には顧問と男子部員達が強引に止めに入っていた。 木下隼人と言うのは、明里の後輩で、今年恋人として付き合い出した。絶世の美男子であり、本人も自らの美しさを表現する為、女装もよく行う。付き合い出してから、不似合いとの陰口もあるが、相思相愛である。 教室に同級生が来た。反省文は途中で良いから指導室に来いとの事だ。また煩い小言かと溜息をついて向かうと、そこに居たのは生徒指導教師ではなく、木下の担任、大杉教諭だった。何とシャンパンを飲んで、酩酊していた。 「加藤君。ファーザークリスマス、知ってるかな?」 いきなり何を。加藤は分からず首を振った。 「サンタクロースって意味だよ」 戸が開いて、現れたのは木下だった。 呆気に取られた加藤を他所に 「彼女と共に帰って宜しい」 大杉教諭は酒を飲み干して言った。 ーー大島渚氏、デヴィット・ボウイ氏、坂本龍一氏を偲んで。
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