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りんのリードを少しずつ巻き上げる
それにつられて、りんも少しずつ
こちらに近寄ってくる。
缶ちゃんもピクリとも動かず
猪から目を離さない......しかし......
当の猪が何やら興奮気味なのか前傾姿勢を
取りこちらを威嚇しているようだ
私はりんのリードを巻き取りながら
少しずつ山の上の方に上がって行った
その時だった!
猪が缶ちゃんめがけて突進して来た
それを見ていた、りんが猪にとびかかって行く時
持っていたリードが私の手から離れた。
尻尾の付け根に噛み付いたりんだったが
猪の振り向きざまの牙攻撃でりんは吹っ飛んでしまった、体制を立て直した猪目掛けて
間髪を入れずに缶ちゃんが、急所の鼻の所に
持っていた木の棒を突き刺した、
棒の先は折れた時に先端が槍のように尖って
いる部分があり、そこがピンポイントで
猪の鼻先にめり込んだ!途端に猪は
棒を鼻先に刺したまま元来た方に逃げて行った
りんは弾き飛ばされた時に猪の牙だろうか、
後ろ足の付け根の所に怪我を負ってしまった、
りんのおかげで缶ちゃんに怪我はなかった。
「り〜ん!」
と大声を上げて缶ちゃんがりんを抱き上げた
りんの後ろ足からは血が流れている
たまたま小川の水が溜まっている所に落ちたため
他には怪我はないようだ、りんを抱えて缶ちゃんが私の所にくる
「夏凛さん!りんの止血をお願いします!
僕は健太君を見て来ますから!」
そう言って健太君の元へと急いだ。
ずぶ濡れのりんの身体をタオルで拭きながら
傷口をハンカチで覆いもうひとつのタオルで
りんの後ろ足をきつく縛った
何とか流れる血は止まったようだ。
りんは起き上がり身体をブルブルと震わせ
身体に付いた水を払っている。
傷ついた足を浮かせながらだったので
ヨロヨロと倒れそうになっていた。
もう一度無線で猫飼爺さんを呼び出してみる
今度は応答があった!
「お爺さん!健太君を見つけました
皆さんに連絡を取って下さい!
私達は今、山を下った先にある小川の所にいます
健太君は木の上にいました!缶ちゃんが
保護しようとしているのですが
気を失っているらしくひとりではどうにも
ならないらしく至急応援お願いします!
猪と対決してりんが怪我をしてしまいました
お願いします!すぐに来て下さい!」
「お〜っ!!そうか健太は見つかったか
今すぐ皆んなに連絡するで!
少しだけ待っとれや!
りんちゃんの怪我は大丈夫か!」
「はい、猪の牙が刺さったらしく血を流して
しまいましたが今は止血をして
何とか自分で立っています」
「そうか、そうか!今行くからな
待っとれ」
猫飼爺さんが鳴らしたのだろう
呼び子笛の音が上の方から聞こえて来た
「缶ちゃん!今救援隊が来るわ
ちょっと待ってて!」
「わかった!健太君からは何の反応もない!
ちょっと木に登って確認してみるから」
そう言って缶ちゃんが木に登って行った。
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