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「缶ちゃ〜ん!これみて!これ見て!」
隊長、長谷川さん、近藤さんが
いるにも関わらず大きな声で道場に
突然入ってきた夏凛さん。
僕も何事か?と思うほど勢いよく入ってきた。
「夏凛さん!今は稽古中ですよ、
いきなりどうしたんですか?」
午後の3時を過ぎた頃に突然の押し込み。
「隊長も近藤さんも長谷川さんも缶ちゃんも
みんな見てちょうだい!」
そう言いながら僕たちの目の前に持ってきた
A3サイズの紙......それは.........
『認定証』だった。
夏凛さんが訓練士資格習得を目指して
二年が過ぎようとしていた。
それがやっと身を結んだ
後から聞いた話だが、
実際は警察犬訓練士となるともっと日数はかかるのだが嘱託警察犬りん号に助けられ
(夏凛さんのミスリードをりんがカバーしていた)
最短で訓練士の資格を習得できたのだった。
ここに『凛・りん』コンビが誕生した。
嘱託警察犬は毎年更新試験があるのだが
りん号は試験の度トップの成績で合格していた。
夏凛さんがりん号とバディーを組めるのは
呑辺SPに出動要請があった時だけに限られる
しかし、りん号は要請があれば何処にでも出動できる。凛とりんにはこれだけの差が開いていたのだった。
かく言う僕は空手2段、柔道初段の腕前にまで
上達していた。
ここ最近では、
呑辺財閥トップの護衛、警察からの救援要請
りん号の出動要請と結構忙しい日々を
送っていた。
そして、ようやっと夏凛さんが
SPりん号だけの専門バディーとして出動できるようになったのだった。
「お嬢様!おめでとうございます。
晴れてSPの仲間入りですね、でも無理は禁物ですよ」
「はい、わかってます決して無理はしませんから
皆さんの足手纏いにならないように気をつけます」
夏凛さんは、この日が来るまで僕にも黙って
いたのだった。
認定書がもらえるこの日まで......。
そして、何事もなく一週間が過ぎた時
あの村から連絡があった。
猫飼村の猫飼爺様から夏凛さんに電話が来た。
電話の内容は猫間爺さんの孫が行方不明に
なってしまったらしい。
キノコ取りに父親と一緒に山に入って
父親がキノコを採取している間に姿が見えなくなったらしい。秋も深まり夜は気温もかなり
低くなってきたという、行方不明になって
丸一日が過ぎてきて警察も必死になって
捜索しているらしいが足取りが全く掴めないで
困り果てていたところ夏凛さんの事を思い出し
連絡してきたということらしい。
子供の年齢は13歳中学一年生だが
食料、飲料水などは多少持っているらしいが
既に丸1日が過ぎている、もう残り少ない
だろう、一刻も早く探し出さなければ
いけない。
呑辺SP全員が行くわけにはいかないので
僕と夏凛さん、りん号が行く事になった。
久々にボランテに乗り、午前11:00時その日のうちに猫飼村に出発した。
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