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「はぁ。だから、お前は人泣かせだって言うんだ。喧嘩ってなんで起きるんでしょうか、はい。日詰く〜ん」
カチンと自分のコップを俺のにぶつけた。中に入ったピンクのカクテルがユラユラと揺れる。
「意見の衝突?価値観の不一致?なんだ??」
「当たりです。日詰くん。大体譲れるところと譲れないところが人にはあって、それがぶつかってしまった時喧嘩が起きます。まぁ、どちらかが折れないと行けません。はい、日詰くん。そういう時どうすればいいですか?」
カチンととまた同じようにコップを重ねる。ユラっとまたピンク色が揺れた。
「折れる?」
「ブッブー。お互いに譲るんです。そうすればお互いに最小限の配慮で済むんです。はい、では次。その衝突すら笑って避けられてらどう思うでしょうか?はい、日詰くん。」
そんなの、衝突しないからいいんじゃないのか。てか、勝手に折れるクソ野郎ってなんだ。絶対俺の事揶揄ってるだろ。
「え、なに。ダメなの?衝突しないじゃん」
「不正解〜。友達ってさ、片方が寄りかかるだけの関係じゃねぇの。ぶつかりそうになって、相手を知ってお互いにピースを合わせるみたいにさ、知っていくわけじゃん。でもそれを避けるお前を見てるとさ自分のことどうでもいいって思われてるんだなって思うわけよ。お互いを知ることでさえめんどくさい、ってな。お前の中で、その他と一緒で、しかもこれ以上は知りたくもないとなってる自分はなんて惨めなんだと思うのも変じゃないだろ。お前と友達とか思っていたのにそれがひとりよがりだったんだって気づいた瞬間は多分かなり惨めだろうね。友達ならまだしもましてや親友と思っていれば尚更その反動はでかくなる。それで泣くやつも出てくる。わかった?」
思い出したのは安藤の事だ。
安藤と最後に話した時安藤は、両と俺は友達だと思ってたと、そう言った。俺はもちろん友達だと思っていた。だから、そうだよと直ぐに答えたし、泣きそうな安藤を引き止めるように腕を掴んだ。でも、安藤はお前は多分明日にはこのこと忘れるんだろうなと言って俺の腕を振りほどいた。何となくわかった気がする。あの時俺は安藤を酷く傷つけたのだ。
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