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「うわぁ〜。日詰先生鬼畜すぎる」
「さぁ、丸つけ楽しみだなぁ」
目の前の男子生徒がくそうと腕と足で大袈裟に悔しがってるのを見てわざと受け取った解答用紙でヒラヒラと仰ぐ。
「日詰先生〜。難しかったんですけど」
ほかの生徒たちも同じように教卓に集まってくる。まぁ、成績には入らないといった手前生徒たちも真面目に受ける必要はないと思ったのだろう。確かにそこまでこれは重要視されないから大丈夫だけど……。ヒラヒラと解答を見てみると1つの解答で手が止まった。
平方鳴。
綺麗な字だ。解答もパッと見悪くない。まぁさすが成績トップと言ったところか。
「明後日に返すから、明日は教科書持ってこいよ〜」
うぇーと嫌そうな声が聞こえてくる。
正直でいい事だ。学生遊びが本分であることを忘れては行けない。まぁ、勉強も本分なのだけれども。
「鳴、出来の方はどうだった?」
「まぁまぁだよ」
そんな大きくもない声が耳につく。平方鳴の声はよく通るけど、周りの生徒の声にかき消されてもおかしくない声量だ。それなのに、耳に届くのは俺が彼の声を聞こうとしてるからだろう。
誰もが気になる、か。
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