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「日詰先生。平方君の新入生テストどうでした?」
職員室に入ると鮫村はニヤリと笑って俺の方にくるりと向いた。話題はまたもや眉目秀麗、成績優秀の平方鳴。何をそこまで彼に注目させるのだろうか。
「あまり覚えてはいませんがかなり点は取れていたと思いまよ。どうかしたんですか?」
鮫村にこの前指摘されたのもあり、適当に返しておく。
「いえ、数学と理科で満点で、英語と社会では1番点数を取ったって言うのでみなさんで感心していたんですよ」
どうぞ、とお茶を置いてくれた諏訪先生は一通りの話題を教えてくれた。確かに、1番点数を取っていた可能性は十分ある。
「凄いですね。さすが首席入学ですよ。やはりこれでは内部生も頭が上がりませんね、」
「日詰先生」
「すみません言いすぎました」
隣に座る川口先生はゴホンと咳払いをして横目で俺を見つめた。別に、そんな悪意を込めたわけでもないのだけれど。
「内部生と言えば、松坂君は?」
そういえば、彼はずっとずば抜けた成績を取っていた。クラスの中心的な存在で確かサッカー部の主将を中学の時勤めていたはずだ。彼もまた人目を集める子だ。
「まぁ、平方くんが1位なら順当にいけば2位は松坂くんなのでは?」
「松坂くんは、私の教科はあまり伸びなかったですね」
「私のところもです」
「僕のところも」
そう言ってテスト担当の人が同意する。
「何かあったのですかね」
国語のテスト結果の表を見て確かにと頷き頭をひねる。かと言って最近別に何があったとか噂は聞かないし、松坂のクラスがギスギスしている訳でもない。もしかしたら彼自身の問題かもしれない。
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