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「松坂いるか?」
「わっ、日詰先生じゃん!どうしたの?」
松坂を呼ぶといつもの調子でよってくる。特に変わりは無いみたいだけど。変わりない松坂の頭を撫でながら、何かあったのかと聞くとあー、と少し松坂は考え込んだ。
「先生、ちょっと相談ていうか話聞いて欲しいんだけど、」
クラスのヤツらには聞かれたくないのかやや声を落としてそう言った。先程の笑顔は消え失せている。やはり何かあったらしい。この優等生も隠すのが上手だ。何故か平方のあの笑顔を思い出してしまった。
「わかった。放課後教室取っといてやるから職員室に来い。あ、今がいいか?」
「大丈夫。別にそんな急ぎでもないし。」
そういうといつもの笑顔に戻ってじゃあまた放課後ね、と自分の席に戻っていった。優等生とはそういうものなのかもしれない。難儀なものだなと松坂の背中を見つめる。
「松坂くんを見つめて日詰先生のエッチ」
「こら、佐倉。勝手に変な事言うな」
ドア際で話していた女子グループの1人である佐倉は俺を見てキャーとわざとらしく叫ぶ。他の生徒もエッチだぁと、佐倉の言葉にのる。佐倉の脳天にコラと優しくチョップをすると、また違ったキャーという叫び声。これ、鮫村に見られたらきっとセクハラだなんだと言われるのだろうなとため息をついていると、ゴホンと後ろでわざとらしい咳払いが聞こえた。川口先生のであった。
「すみません、次授業でしたよね。お邪魔しました。」
「えぇ〜、日詰先生行っちゃうの?」
行っちゃうのってそりゃ行くだろ。次の授業始まるし、川口先生来ちゃってるし。
「次の授業始まるからな。お前らも早く準備しろよ」
「「はーい」」
ニヤニヤと笑いながら佐倉達のグループも解散しそれぞれ自分の席に戻っていくのを横目に教室を出た。川口先生には会釈をしておくと、通り過ぎた瞬間にため息が帰ってきた。
いやほんと毎回すみませんでした。
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