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「お母さんの今の質問って何か意味があってのこと?」
「あるあるぅ~。茜に言っておきたいことがあるのよ」
「なんでしょう」
「茜が結婚して子供も生まれた頃って私も山下さんとこの家で
暮らしてると思うのね。
その時にね、もしも子育てや家事に疲れたりすることがあったら、
私と山下さんとで子守してあげるわ」
「あ、ありがとう。
今からそう言ってもらえて安心というかうれしい申し出だけど、
山下さんもっていうのは……」
「うん、ちゃんと意味があるのよ。
乳児、幼児の子育てしている時って旦那さんのことまで構ってられなくて、
そういう時に旦那の浮気って世間ではよくあるみたいだし、そういうことや
あなた自身の息抜きも必要だと思うのね。
それで私たちは私たちで預かるのにちゃんと理由があるから
winwinなの。
だから遠慮せず預けていいわよ。
ほら、今更私は山下さんの子供を産んであげられないし。
でもね、あなたの子供で疑似お父さんの経験はさせてあげられるかなと
思って。それとおじいちゃんの役もね。
私ね、孫には私と山下さんのことをママ、パパって呼ばせるつもり」
-
少し前には山下のことは『司おじちゃん』と呼ばそうなんて考えていた
百子だが疑似父親役を経験してもらえるかもしれないと思うようになって
から、呼ばせ方などにも変化が生まれた。-
「お母さんって発想が面白いよね。そんでもってそういう提案って
みんながハッピーになれる内容で、すてきー!」
「お盆とかの夏休みに帰ってきた淳平にもしっかり叔父さんとして
子守させましょう。みんなで可愛がるわ。
あなたもあなたの旦那さんも息抜き出来ていいじゃない?
でも旦那さんにも父親をちゃんと自覚してもらわなきゃいけないし、
お休み丸々赤ちゃんがいないなんて張り合いがなくなるでしょうから、
その辺はちゃんと旦那さんの意見を聞きながらじゃないとね。
三人の生活も大事にしないといけないから」
「うん。そうだよね。
お母さん、子育てをみんなでしようって提案してくれてありがとう。
一人で子育てしてノイローゼになる人もいるって聞くから、心配も
あったけれどなんか大船に乗ったような気分。
産まれてくるのがほんとに楽しみだわ」
「お姉なんかその言い方だともうお腹にいるような発言になるぜ」
「いないわよー、もう淳平ったらぁ~、何言っちゃってるのぉ~」
「「「はははっ」」」
辛い時悲しい時片寄せ合って暮らしてきた家族。
百子の幸せな未来が見えるような団欒がそこにはあった。
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