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「こんにちは、お久しぶりです。何かいいことですかお話って」
「ご無沙汰してました。わざわざお呼び立てしてすみません。
何か広い空間でお話したいと思いまして」
「……」
「石田さんのコミカライズした作品が映画関係者の目に留まりまして、
映画化の話がきてます。なんか、自分のことのように嬉しくて」
「えーっ、うそっ」
「ほんと、本当なんですよ。全く石田さんはシンデレラガールです」
「そのお話が本当ならすっごくうれしいー。
山下さん、私の手の甲を抓ってみてくれませんか」
「わかりました……」
石田さんが抓ってみてほしいと手を差し出してきたので俺は彼女の柔らか
そうな手の甲をギュッと抓った。
「痛いっ。本当なんだぁ、嬉し過ぎる」
俺は女学生のように嬉しがる石田さんのことを可愛いなぁと思った。
◇ ◇ ◇ ◇
突然の、幸運を絵に描いたような話に私は興奮してしまい、山下さんの側で
飛び跳ね、片腕を二度三度突き上げてヤッターのポーズをとった。
あまりに気持ちがハイになり、じっとしていられなかったのだと思う。
そしたら彼が手を出してくれたので私はハイタッチした。
そのうち気がつくと二人とも喜びから浮かれて勢いづき
軽く抱き合っていた。
ほんの1、2秒のことだった。
◇ ◇ ◇ ◇
身体と身体が離れる瞬間、間をとるように山下さんが言った。
「少し、歩きましょうか。もうしばらく喜びを噛み締めましょう」
勿論、もちろん。
「勿論、いいともー」
「「ははっ」」
「いい作品になるといいですね」
7/9 '24.8.4
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