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「そうですね。
配役が気になります。
やっぱり監督さんが決めるんですよね」
「そうですね。
僕はその辺のこと、映画のことはよくわからないのでアレですが」
「私の中では自伝なので主役の方があまりお綺麗だと自伝だということを
忘れて観てしまうかも、ふふっ」
「いいんじゃないですか、それで。
ひとつのエンターテーメントとして観て楽しみましょう」
「そうですね。
いつ頃完成するのでしょうね」
「1~2年ぐらい先でしょうか。
もしかすると3年くらい掛かるかもしれませんね」
「楽しみぃ~」
「僕も自分が係わった人の作品が映画化までいくなんて、今ちょっと感動して興奮してます」
「山下さん、本当にありがとうございます。
山下さんが私の作品を見つけ出してくれなかったら、投稿サイトで
1位にもなれず、目立つこともなくただの作品として、埋もれて
いたことでしょう。
でもやっぱり今でもなんで?
私の作品が……っていうのは正直ありますけど」
「創作じゃないからこその何かが、何かエッセンスが石田さんの作品には
あるんじゃないですか」
「喜びや悲しみ、そして憎しみや嫉妬……とか?
そして諦念へと続き甘んじて受け入れるという形になり、今やそれは
昇華されるというところまで行き着いたという感じですね」
「石田さんはさまざまな感情を経験したわけですね」
「はい、まさにそうなんですよね。
人生はある意味修行の場で、私はいろいろな感情を知るように導かれている
と言えるのかもしれません」
「僕はそういう石田さんの前向きな考え方がいいなぁと思います」
「ふふっ、ありがとうございます」
「完成披露試写会へはぜひとも一緒に参加しましょう」
「そうですね、ぜひ」
私と山下さんはこの後、公園のすぐ横を走る東西に続く大きな道路に出て
彼がタクシーを拾うまで立ち話をしてそれから別れた。
今日は特別に喜ばしくうれしい日になった。
その喜びを分かち合える人がいたことは、幸いだった。
映画化されたら一緒に試写会へ行こうと山下さんから誘われた。
その約束はいつ果たされるか今のところはっきりとは分からないけれど、
希望と喜びに満ちたひとつの約束事は私の心に灯りをともした。
7/14 '24.8.5
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