『愛のため、さよならと言おう』- KAKKO(喝火) -

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48  さて、これから何を書こうか。  何かとっかかりがほしいと思い近所の業務スーパーの隣にある Book offへ向かうことにした。  そこに行けば何か自分の欲しいものがあるんじゃないだろうか、 そんな思いを抱えて。  人間同士の話。  ……となると自伝でもそうだったようにやはり男と女の話になる。  すぐに目についたのは以前夢中で読んだことのあるボーイズラブ、 所謂BLと呼ばれる文庫本が目に入る。  読むのは好きだけど、読んでいて思うのは女の身で男の生理など分からないのに作家たちはどうしてエロエロエッサイム、ドエッチなシーンをあれほど 濃ゆく長く描けるのだろうか、というのがずっと疑問だったし、今も 疑問のままだ。  想像でよくあんなに書けるものだと感心するばかり。 『私には100年かかっても無理だー』  別の場所に移動する。  あるコーナーに、結構主婦などに人気があると聞いたことのある ハーレクインの文庫本がぎっしりと並んでいた。  その中から適当に手に取りパラパラっと開けて、最初に戻りあらすじを 読んでみる。         ――――――――――――――  主人公カトリーヌは夫の浮気で別居しているというのに死んだ父親が 遺言状に1年間その夫と一緒に暮らすよう書いて残してあるというもの。  そうしなければ、遺産は夫に残すと書いてある。 『なんじゃこりゃあ~』むちゃくちゃなあらすじと、小説を読み始めると 出て来るカタカナの名前や名称に辟易してしまう。  いや待てよ、まだ一冊。  もっと良さげなストーリーがあるかもと次の一冊を手に取ってみる。 ―― スリルと官能が交錯する、切なく蕩ける大人ロマンス! ――   立ち読みすること10分。  大ベストセラー作家の作品らしいが、気持ちはちっとも 盛り上がりそうにない。  縁もゆかりもない……官能かぁ~、蕩けるロマンスねー。  はぅ~あれかなぁ~、翻訳本っていうのと海外の人との感性の違い っていうのもあるのかもねー。  日本人作家のBL本のほうが遥かに面白いと思われた。   7/ '24.8.6
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