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翌朝、伊藤留衣さんが勤務している角谷不動産会社を訪ねた。
「もしかして亜子ちゃんのところにも連絡が来たの?」
「はい」
いじめにあい中学校は不登校になった。お互い会いたくないだろうし、お呼びじゃないのはわかっていたから卒業式にも、成人式にも出ていない。だからクラスメイトの顔と名前が分からない。思い出せない。
「亜子ちゃんが思い出せないなら彼らも同じだと思うの。私が亜子ちゃんに成り代わり葬儀に参列するわ。バレやしないわ」
「あ、でも……」
「大丈夫よ。亜子ちゃんには迷惑は掛けないから」
いつもと違う留衣さんの笑顔が怖かった。
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