20年越しの復讐

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「今ごろ、清と感動の再会を果たしている頃かしらね?久しぶり、勝紀くん。僕のこと覚えている?何で覚えていないの?僕は覚えているよ。勝紀くんにいじめられたこと、死ねと言われたこと。きよしこの夜の替え歌でからかわれ、亜子ちゃん以外クラス全員笑い者にされたこと。先生も誰も助けてくれなかったこと。学校もいじめなんかなかったと真っ向から否定したこと。みんな嘘つきだって僕は知ってる。死んでも一生忘れない。成仏したくてもできっこないでしょ?」 ようやく清くんが亡くなっていることを知るクラスメイトたち。当時の担任も真っ青になっていた。 「清に参列しろと言った同窓会の幹事の厚海って誰?清はねたった19年しか生きられなかったのよ。14歳の時階段から突き飛ばされて植物状態になって一度も意識が戻らないまま死んだわよ。亜子ちゃん以外誰も葬儀には来なかった。亜子ちゃんは毎年清の命日に線香をあげに来てくれる。今も彼女は清を助けてあげられなかったと自分を責めて苦しんでいるのよ。それも知らないなんてね。あなたたちいいご身分ね。清を返してよ!あなたたちにとって清はばい菌でしかなかったけど私たちにとっては大切な家族なのよ」 留衣さんが大きなお腹の春美さんの前に静かに歩み寄った。 「清は軽度の知的障がいがあった。亜子ちゃんも軽度の発達障がいがあったのよ。パパみたく目に見えぬ障がいを持った子達をいじめない、手を差しのべてくれる心根優しい子が生まれるといいわね。あ、でも、人殺しの子どもって逆にいじめられるかも知れないわね。どんな子が産まれてくるか楽しみよね」 春美さんの表情がみるみるうちに凍りついていった。
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