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「あの後すぐに小田切に何があったのか尋ねたが、書類のミスが続いたから少し注意しただけだとしか言わない…」
「あ…そ、そうなんです。私未だにコピーも上手くとれないポンコツでっ、」
「わざわざ別室に呼ぶほどの事でもないだろ?普通にフロア内で話せば済む内容だ。」
「それは…そうなんてすけどっ、、」
「……沙奈、お前俺に何か隠してる?」
──…いま、沙奈呼びは反則です。
「あいつには話せて、俺には言えない?」
知られたくない。だから話せない、いや話したくない。…同い年の女子達に嫌われているとか、優秀な立花さんに仕事を横取りされてることとか。
仕事以外のことで関わりがない小田切課長に知られるのとは訳が違う。好きな人だから…知られたくないんだ。
「………私にも、秘密にしたいことはあります」
「これ以上、聞かない方がいいってことか?」
「そうして頂けると、助かります」
「……そうか、分かった。」
少しいつもより声色が冷たく感じて…こっそり部長の表情を盗み見ると、特にいつもと変わらない無表情で。何を考えているのか分からなかった。
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