亀裂のハジマリ

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結局その後、部長は出張の用意をするためバタバタと荷造りを始め…向こうに着く前に、色々確認しておきたいことがあるのか、リビングでパソコンを触り始めたので……邪魔をしないように、先に休ませて貰うことにした。 「……先に休ませていただきますね」 一言かけて二階に上がろうとしたが、パソコンの画面から顔を上げた部長になぜか笑われてしまった。 「やけに他人行儀だな?いつもの威勢のいい沙奈ちゃんはどこに消えたんだ?」 さ、、沙奈ちゃんっ?!! 突然の沙奈ちゃん呼びに対応しきれず、瞬きを繰り返す私を見て部長は更に頬を緩める。 「添い寝、してやれなくて悪いな…また帰国したら夜のレッスンの続き…シような?」 なんて、部長から言われると急に恥ずかしさが込み上げてきて「お、おやすみなさい!」と叫ぶように告げてから寝室まで走った。 自分の部屋で寝ようかとも考えたが…流石に寂しすぎるのでいつも通り二人で夜を共にしているベットで眠りについた。 「……部長の匂い、しゅき、、」 布団に潜り込んで、肺がいっぱいになるまで部長の匂いを吸い込みながら……目を閉じる。 朝起きたら…笑顔でお見送りしよう。っと…そう心に決めていたのに、目が覚めると既に部長の姿は無くて、彼が用意してくれたと思われる朝ごはんがダイニングテーブルに一人分用意されて並んでいた。 「…早朝の便で出るなら、言って欲しかったな」 朝ごはんを作ってくれたのは嬉しいけど、今日は私がお見送りしたかったです。
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