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体調が悪い訳では無いが、これ以上ミスをして迷惑をかけるのは申し訳ないので……早退させてもらうことにした。
明日から切り替えて頑張れるように…今日は美味しいものをたくさん食べて、いっぱい体力を付けよう、、って思える間はまだ頑張れそうな気がした。
タイムカードを打ってエレベーターに向かう途中、出張から帰ってきたのか…キャリーケースを転がして歩く立花さんと鉢合わせた。
「……お疲れ様です、、あれ?芳野さん早退ですか?どこか具合でも悪いんですか?」
機嫌が良さそうな彼女を見ていると、昨夜部長と何かあったのかもしれない…なんて嫌な妄想が膨らみそうになるので愛想笑いをしてその場を立ち去ろうとした。
「部長たちより一日先に帰国することになって、家で居ても暇だしこのまま定時まで働こうと思ったんだけど…芳野さんは帰るんですね?」
自分は出張帰りでも直帰することなく仕事をする為に出社したのに、ろくに仕事も出来ないくせに早退するとはいい身分だな…と言われているような気がして何も言い返すことが出来なかった。
「また気が向いたらグループトーク、参加してくださいね?芳野さんが居る方が楽しいし」
どういう意味で”楽しい”と言っているのか分からない。彼女の考えている事が分からなくて単純に怖いと思った。
一度無くした信頼というものは取り戻すのに時間がかかるものだ。私の中でこの立花 栞という人間は今現在、嫌な人以外のなにものでもない。
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