出会いとハジマリ

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何社も受けて、履歴書を何十枚と書いては…不合格を知らせるお祈りメールが届く毎日だった。そんな中、唯一私のことを採用してくれた会社…… 紳士服の製造、販売チェーンを主にした大手企業での総務の仕事。パソコンスキルが人より出来るわけでもないし…総務の仕事なんて考えたことも無かったが、、 ダメ元で応募してみたところ最終面接まで進むことが出来て…その後届いた採用を知らせるメールを見た時は嬉しさのあまり夜通し泣いたのを覚えている。 ──…それなのに、 ドキドキ、緊張しながらも楽しみにしていた入社式にはどうやっても間に合わないし…結局未だ、会社に連絡出来ずにいる。 ”入る前から、君たちはZ世代だって理由だけで呆れられている。それを覆すような社会人になって大人を見返してやりなさい”と大学の就職担当の先生はよく言っていた。 ・ネットリテラシーが高い ・自分らしさを重視、主張する ・挑戦より諦めを選びがち ・周囲からの承認を求める ・ジェンダーレスな価値観 デジタルネイティブである世代なんて言われる だけあって、SNSに依存していることは確かに否定するつもりはないが…仕事に関しては、真面目に取り組みたいと思っている。 他の人はどうであれ、自分は仕事と真摯に向き合い人から評価されるような社会人になりたいと希望を抱いて朝家を出たのに…早くも心が折れそうになっている。 (どうせ、今から行っても怒られる) なんて甘ったれた感情が脳内を支配し始めると、どんどん会社から足が遠のいてしまう。”電車が遅延してしまいました”なんて遅刻の口実ランキング上位に入るような内容を正直に話しても…… 寝坊だと思われたり、初日からダラしない奴だという目で見られるのはしんどい…もう、帰りたい 逃げ出したい気持ちと、早く会社に行かなければという思いに挟まれ…人事担当の人にメールを送ろうと画面を開いたまま駅から動くことが出来なかった。 ──…あぁ、情けない。 所詮私も、社会で言うところの”今どきの若いやつ”という部類の一員に過ぎなかったんだ。
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