レッスンのハジマリ

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無抵抗な部長の首元に再び顔を埋めて、そっと唇を押し当てる。 少し強ばって身体に力が入ったことに気付いていたけど、知らないフリをしてそのまま首筋を舐めてみる。 (……やわらかいっ、) クラクラしそうなほど、部長の匂いでいっぱいのそのエリアは危険地帯だったようで。そのままそこに吸い付いてしまいそうになったところで、 「っ、沙奈……」 身体を押し返されて、拒絶されてしまった。 「見える場所に痕を残されるのは、困るっ」 「……見えないところなら、いーの?」 一瞬目を丸くして部長が怯んだスキをついて、彼の着ていたスウェットを上に押し上げて上半身をさらけ出してみた。 「……今週は、キスだけなんじゃないのか?」 「ここまでシて、今更終われませんよっ」 「意外と積極的なんだな、沙奈は……」 「こんなに大胆に自分から仕掛けたのは、貴方が初めてです」 今だって、凄く緊張してるし…ドキドキしながら部長の身体に触れている。ジムに通っている、というだけのことはあるな…なんて思いながら彼の逞しい腹筋に指を滑らせた時─…その手を掴まれてしまった。
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