ニ〇六二年 五月七日

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 意外にも、高橋を残してきた場所は、実際には目と鼻の先で、距離にしてニ〇〇メートルと離れてはいなかった。  自分の心配を余所(よそ)に、戻るなり高橋は、今日は何とか鳥を見ましただの、こんな島でも鹿はいるんですねなどと矢継ぎ早に話す。  話に耳を傾けながら、ただただ我が身の愚かさを呪うしかなかった。  一通り話を聞き終えてから、食糧が確保できた、これで当分は食うに困らないと、喜びの報告をして、これ見よがしに片足を引き摺る高橋の肩を抱えて先程の場所まで誘導する。  もう、殆ど日は暮れてしまっているが、幸い、ライトは失っていなかったので、視界は確保される。  怪我人を連れているとは言え、先程の場所に到達するのに、それ程時間は掛からなかった。
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