エピローグ 〜 パパ、あのね〜

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エピローグ 〜 パパ、あのね〜

二〇六十四年 四月某日  ヘドロゲンはモスキーターの同行で、夫婦で仲良く田部ヶ島へ帰っていった。  今でも、ヘドロゲン込みの和天則はももこさんと仲(むつ)まじく暮らしているそうだ。  ももこさんと和天則。ももこさんは和天則の容姿に()れたのだが、中身はやっぱりヘドロゲン。  損をした人間は一人もいない。それが一番良かった事。  まぁ、どっちも人間じゃないけど。  葦原班のみんなと朝日の向こうに消えていくももこさん達を見送った(あと)、自分は(ようや)く家族の元へ帰ることが出来た。  あれから二年経って、世の中は劇的に変わった所もあれば、そんなに変わらない所もあって、全体的にはあんまり変わっていない。  高橋は無事に手嶋さんと結婚。事あるごとにドラゴンに姿を変えて怒る手嶋さんに、高橋は(いま)だに頭が上がらないでいる。けど、いつも聞かされるのは惚気(のろけ)話ばかりだ。  京寺谷くんはヘドロゲンを見送った後、自分や葦原班長に、 「あっしの早とちりで、八丁堀のお二人にはご迷惑をお掛けいたしやした」 と言ってその足で帝都署に自ら出頭したそうだ。  どっちも八丁堀じゃないけど。  結果的に、AI學天則の破壊は殺人にはあたらず、器物損壊の罪に問われる事となった。
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