エピローグ 〜 パパ、あのね〜

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 筑波くんは、真面目さと勇猛さ、そして飛行能力を買われ、友好国の航空宇宙局への就職が決まった。  聞けば、先に入局した後輩がいるらしく、一緒に仕事ができると喜んでいた。  一番驚いたのは天王寺さんだ。  あの事件以来、何か吹っ切れたとかで、小さい頃からの夢を叶えるべく『天王寺みお』という名前で地下アイドルとして活動している。  本名の『愛瑠』の方がアイドルらしく聞こえるが、『天王寺』だから『みお』の方がややこしくなくていい。  所長と副所長を一度に失った東南海国際細胞研究所は、この春から『東南海科学博物館』と名前を変え、(ひら)かれた研究施設として様々な展示物やアトラクションを用意し、子供たちの来場を受け入れている。  勿論、イメージキャラクターは『細胞グくん010』。須田先生の死を(いた)んだ西ノ村先生のご厚意で再度デザインし直され、随分と可愛らしい、キャラクターらしい姿にした。  どうやら須田先生は嫌われてなかったらしい。  米良さんは、あの時、薬師丸さんの銃撃で深手を負ったが一命を取り()め、事件以降は局長を退任し、今は良きジイジとして孫との思い出づくりに励んでいる。  その米良さんの跡を継ぐ危生処隊の局長には、葦原さんが就任した。  葦原さんも、自分の人生に区切りをつけたいのだと相当悩んで居られたのだが、自分や高橋からの説得を受け、一先(ひとま)ずは、我々のいる間だけでも局長を務めて貰える事になった。
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