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二〇六二年 五月三日
━着任記録━
井田
朝から悪天候。
だが我々危生処隊は、この様な悪天候でも任務を遂行し、完了させるべく日夜訓練に励んでいる。
寧ろこういう天候こそ、我々の本領を発揮する良い機会と捉えるべきだろう。
自分と同行する高橋は、まだ入隊三年目の経験浅い若手隊員である。
しっかりと自分がリードしてやらねば、命の危機は常に背後にあるのだ。
高橋は学生時代、生物学を専攻しており、鳥類の研究で世界各国でフィールドワークを行っていたと言う。
そんな彼が、絶海の孤島において遭遇する、珍しい鳥に目を奪われる事は仕方のない事なのだ。
想像通りと言うべきか、想定外と言うべきか、高橋は珍しい鳥(彼はそれをサラサラ鳥と呼んでいたのだが、実際それは、名前ほどサラサラしておらず、どちらかと言うとベタベタしていた)に注意を惹かれ、雨で泥濘んだ岩場から足を滑らせ、三〇メートルほども山の斜面を転がり落ちる事となった。
その時自分は、高橋を助けようと手を伸ばしたが、高橋が何を思ったか、自分の足首を掴んだ為、自分は高橋もろとも、斜面を転がり落ちる羽目になった。
崖からの墜落でなかった事が不幸中の幸いだったが、我々は身体中を打撲し、多くの擦り傷を拵えるに至ったので、しばしその場に留まる事になった。
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