深夜2時、逢瀬を重ねる

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新次郎さんの家の家具は基本全てお洒落。これは全て自分で用意したものなのか、それとも女性からの贈り物なのか…たまに気になることがある。 「……ん?今度は何、余計な事考えてる?」 私が他のことを考えると彼は持ち前の優れた洞察力ですぐに見抜いて尋ねてくる。隠してもどうせバレるので素直に聞かせてもらった。 「この家の家具は…全て新次郎さんが用意したものですか?」 ベッドに寝かされた際に、枕元に転がっていた丸いボールのような形のものをポン…と叩くと淡いオレンジ色の光を球体が放つ。 こんな洒落た照明を、私はこの家に来るまで見たことがなかった。 「……それ、いま重要なこと?」 私の手の中にあった丸い球体のライトを彼がもう一度ポン…と叩くと今度は水色に光る。 「確かにこの家の照明に関しては拘ってる自覚はある。昔…真っ暗な部屋に監禁されたことがあって。その時からこういうの、集めるようになったり…大人になってからは部屋の照明にやたらと拘るようになった」 予想外の回答に思わず言葉を失う。そんな私を見て笑った彼は、丸い球体をもう一度叩いて放っていた淡い光を消した。 「……なんてな、冗談。金が有り余ってるから適当にネットで買い物してその辺に転がしてるだけだ。深い意味なんてねーよ。まぁセンスがあるって褒めてくれてるなら、それは有難く受け取るけどね」 以前…誘拐されたとか、給食に毒を盛られたとか言ってた時もすぐに冗談だって言って笑ってたけど…もしかしたら全て実話だったりするのだろうか?
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