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私が彼のことを理解してあげられる日なんてきっと未来永劫来ることは無いだろう。それでも、こうして一緒にいる間、彼を満たしてあげることは私にだって出来るはずだ。
「今日は私が上に乗ります」
「……はい、却下。あの日は特例だっただけ。上から見下ろされるのは趣味じゃねぇ…」
「今日だって、ケガしてるじゃないですか」
「ん?別に問題無くね?手が使えねぇなら、舌使って紬葵を気持ちよくしてやるってだけの話」
そういう問題では無いと思うのですが。彼がそうと決めてしまうと…もう私に決定権なんてものはない。
慣れた手つきでベッドに身体を沈めさせ、ちゅ…っと啄むようにリップ音を立てながら軽いキスを唇に落とす。
左手で私の身につけている衣類を脱がしにかかり、傷めている右手は腕を私の顔の横について器用にも髪に指を通している。
大切にされている…なんて勘違いを起こしそうになるが、あながち間違いではないようにも思える。
新次郎さんは言葉にこそしないものの…毎回、私のことをとても大事に扱ってくれる。
まるで本物の恋人同士みたいな…そんな気持ちになることが出来るこの束の間の時間を、一秒も無駄にしたくは無い。
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