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「あのっ…どうしてここに、」
「は?ここ、俺ん家だったよな?」
「そ…それはそうですけど」
「お前、真面目だからなぁ…俺に黙って仕事行ったりしそうだから。休むって連絡入れるところ…見届けてから出ていこうと思って」
……見抜かれていた。いや、でも思いとどまってちゃんと休もうとしたんだけどな?
「……お前に接触してきたバカの始末が済むまでは、出歩くな。必要なものがあれば連絡しろ。メシは俺が三食デリバリー頼んで届けさせるからしっかり食えよ」
「いや、自炊するので大丈夫、」
「信用出来ねぇ。昨日も何も食ってねぇだろ?」
それを言われると…何も返せなくなる。
新次郎さんはソファから立ち上がると、タブレットを置いてゆっくりと私の元へと歩いてくる。
「…一緒にいた男が本当に始末されたなら、その場でその男も殺されてたはずだ。お前を脅かそうとしてついた嘘だろうから…余計な責任を感じる必要はない。分かった?」
昨晩、私が”人を殺してしまった”と言ったことを私以上に気にかけてくれている様子の新次郎さん。彼がそう言うなら、そうなのかもしれない…と思えてくるから不思議だ。
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