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さっきの闇は何だったんだ、そう思うくらいに希望に満ち、覚悟した男の目があった。
この人ならやれるんじゃないか。この人なら、そんな大層なことでもやり遂げられるに違いない。そう思わせる何かが男にはあった。
私は最後の力を振り絞っていった。
「やってやろうじゃないの!」
「そうかい!俺の名は御子柴春海!」
「私は…春川梅華!」
これが、男、御子柴春海との出会いだった。
「梅華…、とりあえず出血量は多くねえからな。」
そう言うとひょいとおぶられた。煙管と香の混じった匂いだった。
蝶よ花よと育てられた自覚のある私にとって新鮮だった。
「しっかし・・・、お前さん、あれだろ。春川っつったら、雅秋の娘っ子だろ?」
なんで知っているんだろう。雅秋こと春川雅秋は私の父上だ。
「なんで…父上を知ってるの?」
「簡単なこって。明倫館の同期だぜ?」
「え…。そんな年なの…?」
「ばーか。俺は特待で早めに入ってんの。」
「あー人って見かけによらないよね。」
「おい、俺のこと思っただろ。」
・・・そんな軽口を叩いて。
私の家に入っていく。
朝になってどうやら、梅太は帰ってきてバレなかったようだが、私は血まみれで、しかも変な忍び装束の男に抱えられている。
・・・当たり前だけど大騒ぎになった。
「お、お嬢様!そのお怪我は!」
「雅秋様!お嬢様がご帰宅なさいました!」
「はやく!お湯を持ってきなさい!」
今回は私が悪い。されるがままに手当を受けた。
ちょっとどこなく痛い。
手当が終わると、父上の部屋から大声が聞こえてきた。
「よ!雅秋イ!娘っ子、ちょっと借りる!」
「・・・オイイイイ!何が娘っ子借りるだよ!!」
いつも厳格な父上を怒らせ。
でも、なんとか言いくるめたみたいで、春海は笑っているのかは分からないが、のんびりと私に向かって手招きをする。
「ま、親父さんに許可もらったことだし。行くか。」
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