第一部 弐 安政の大獄

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松本村につくと、一軒だけ騒がしい家を見つけた。 「あれが松下村塾・・・。」 「梅華も梅太もはじめてか。」 「そうだね。俺はとにかく初めて。文通はこっそりしてたけど。」 「お前は玄瑞か。」 「そうかもね。」 同年代と仲良くやれている梅太を見て安心していると、 「ここが松下村塾だ。」 晋作は大声で 「先生!高杉です!春川も来ました!」 というと返事を待たずにスパーンとドアを開ける。 眼の前には同年代の男子がずらりと並んでいた。 「お!高杉!来てたのか!」 「今来たんだよ!見えねえか?」 「あ、梅太じゃねえか!」 どうやら明倫館で梅太のことを知っているものも多いようだった。 何人か手を振っている。 奥に先生らしき人がいた。 「あなたが、春川梅太郎くんですか?僕は吉田寅次郎。号を松蔭と申します。」 へりくだった物言いが特徴的な人が梅太に頭を下げている。梅太もいそいそと頭を下げているのは圧巻だ。 「そちらのお嬢さんは?」 「俺の姉の梅華です。」 「春川梅華と申します。」 それが、私と松陰先生の出会いだった。
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