再び俺の部屋

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再び俺の部屋

「俺あんまり桐谷君と話したことない気がするんだけど、桐谷君って長くて…名前で呼んでもいい?」 「えっ」 「いや、嫌ならいいんだけど」 「嫌じゃ、ない」 「まじ!じゃあ、千紘」 初めて聞いた。慈以外の人間に名前を呼ばれたのは初めてだった。 「俺も、名前で…呼びたい」 「え!嬉しい、俺、一に、暁って書いていさとって言うんだ」 「いさと、くん」 「ありがとう!なんか嬉しいー!!改めてよろしく!」 「こちらこそ、よろしく」 放課後。最近やってなかったから油断していた。 コンコン このノックの仕方…まさか……。 「めぐ…んむ」 大失言。誰かに聞かれる可能性のあるところで慈って言うとこうやって塞がれるんだった。忘れてた。 もうめんどくさいから俺ベッドの上でいいや。椅子出してくんのだるい。 「めぐみ、なんで最近俺の部屋なの? 補習って言えば結構大丈夫だと思うんだけど。こっち来る方がリスクあるくね?」 「いや、ここの方が2人きりっていうか…距離近い」 「そう? 誰かに見つかってたりとかしねえ?」 「たぶん大丈夫」 他愛もない話をしながら、緊張感と遠慮をなくしていく。だいぶ距離が近くなった頃。 コンコン 「え」 「千紘…誰か呼んだ?」 「いや…」 誰だ、どうしよう慈のこと。どうしよう。バレた? え、誰。世界が終わるんじゃないかってぐらいに焦りながらドアを開けた。 「あ! 千紘君! よかった合ってたー部屋教えてもらったから行こうかなと思って」
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